W76古典芸能を親しむ会

鑑能会

新しく幹事になった私西村が能楽師ということもあって、所属している銕仙会の定期公演2017年6月9日(金)能『阿漕』(西村高夫)、2017年10月13日(金)能『遊行柳』(清水寛二〈教育学部卒〉)と’76稲門会同期の能楽師2人の舞台に、数名の同期の方々が足を運んで下さいました。これからも能は勿論の事、それ以外の古典芸能にも触れる機会を企画出来たらと思っています。 宜しくお願いします。

能「阿漕」とは

能「阿漕」

今の言葉でも「あこぎ」とは「浅ましく、無慈悲な、人情のない、ひどい」といった意味で使われますが、能『阿漕』 は阿漕という名の漁師が、 禁漁区で密漁をくり返しついには見つかって捕えられ海に沈め殺されてしまう話で、 後半は網をしかけて実際に魚を漁る様子や、 その罪業の為に死後も地獄で苦しめられる様子を見せる能です。 神や草木の精や昔の高貴な人物などが登場して舞を舞って見せる様な能と違って、 現代の我々と等身大の人物が自身の欲や煩悩によって引き起こされる罪業に苦しむ姿は、 ある意味では初心の観客の方にもわかり易い演目と言えるでしょう。

西村高夫

能「遊行柳」を舞って

 

能「遊行柳」

銕仙会2017年10月定期公演で能 「遊行柳」 を舞い、 会員の方にご覧いただきました。 西行の 「道の辺に清水流るる柳かげしばしとてこそたちとまりけれ」 という歌を本説とし、 東北の路傍の老柳の精が、 遊行上人の南無阿弥陀仏の声にひかれて、 草木成仏を願い舞を舞うという曲です。 はや60代半ばとなり、 老いさらばえていきますが、 老柳も春の芽吹きの頃は若々しいわけで、 これから老体を演じていく中、 逆に若さが出て花を咲かせられることを願っています。

清水寛二

「遊行柳」 を拝見して

「能は、観ていても確かに難しい古典芸能の一つである。なぜなら、『最小限度のパフォーマンスで最大限の表現が可能だからです』 (W76の名古屋女子大学教授 「林和利」 さんの言葉)。
私にとって、二度目の観能であったが、シテにW76の「清水寛二」さんが演じているんだと思って観ていると、不思議に能に親近感が湧いてきました。
『W76』 には、銕仙会(てっせんかい)所属の能楽師に「西村高夫」さんと 「清水寛二」 さんのお二人がおられます。 『百聞は一見に如かず』、 皆さんも敬遠せず、 行動を起こし、是非共に『能楽堂』へ足を運びませんか!!」

幹事 名塚 章一